tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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拡大する経常収支黒字の活用を!

2017年11月09日 11時55分11秒 | 経済
拡大する経常収支黒字の活用を!
 昨11月8日、財務省は、平成29年上期の国際収支状況(速報)を発表しました。
 マスコミが報道するように、経常黒字は10.5兆円となり、平成19年、いざなぎ景気のピーク(平成12年上半期12兆円)には及びませんが、リーマンショック後では最大になりました。

 直感的には黒字が増えたのは良いことと感じます。しかし、確かに赤字よりはいいでしょうが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、あまり大きくなると問題もあります。

 経常収支というのは、日本(日本人・日本企業)が経済活動で稼いだ金額から、日本が使った金額を差し引いたものですから、家計で言えば、稼ぎから支出を差し引いた「使い残し」という事になります。

 もっと使えばいい生活ができるのに、という事も成り立ちますが、今の日本にとって、いろいろある問題の中で、重要なものの1つに、何か問題があると「安全通貨」とみられている円が買われ「円高」になるという事があります。

 円高で長い間苦労をした日本ですから、今、日銀も企業も、円高を最も恐れています。円高を招かないためにも、あまりに経常黒字が増えるのは問題でしょう。

 経常収支の中身を見ますと(平成29年上半期)
・貿易・サービス収支  +1.7兆円
・第一次所得収支    +9.7兆円
・第二次所得収支    -1.8兆円
となっています。

 トランプさんが「対日貿易赤字が大きい」と言いますが、貿易黒字より圧倒的に大きいのは第一次所得収支で、これは企業などが海外等から得ている利子や配当です。(第二次所得収支は外国への無償供与などで、赤字です)

 これを1年分にしますと黒字額は21兆円になり、日本のDP530兆円の4%になります。
 先ほど述べた、「もっと使えばいい生活ができるのに」という面から見れば、4%分良い生活ができるのに、使わないでいるという事です。

 第一次所得収支の黒字の太宗は、日本企業の資産の部に計上されているのでしょう。企業はそれをベースに経営計画を立てているのでしょうけれども、日本経済全体から見れば、「毎年巨額の使い残しを計上するのなら、何とか日本経済全体のために活用できないかという事になります。

 経常黒字が、企業、消費者、政府の3者によって巧く活用され、日本経済の活性化に役立てられれば、その成果は企業、家計、政府に還元されることになるでしょう。

 こういう事こそ、「経済財政諮問会議」などで、政府、労使が目的を明確に掲げ、じっくり話し合ってほしいものだと思います。

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